〜鉄道豆知識〜在来線が高速化できないのはなぜ?
日本国内の在来線最高速度は京成成田スカイアクセス線の時速160キロ、さらにJR西の新快速やつくばエクスプレスなどが時速130キロ運転を行っています。
こうした路線では安全管理が他の路線に比べて徹底されており、事故や車両故障が比較的少なくなっています。しかし、国内の在来線のほとんどが時速95キロ、速くても時速120キロが最高速度となっており、国内で時速200キロ以上で走行する路線は新幹線のみとなっています。
これに比べて、フランスやドイツなどの欧州諸国では、時速200キロ以上で走行する鉄道路線の中で、在来線と高速鉄道を兼用できるという優れた路線も多く存在しています。では、なぜ日本の在来線の最高速度はなかなか上げることができないのでしょうか?
(1)法律上の問題
日本では鉄道の安全対策について法律で
厳しく規定されているため、安全性が損なわれやすい速度向上については、極めて厳しいルールを満たさなければなりません。有名なものとしては、600メートル条項というものがあり、これは、非常ブレーキをかけてから600メートル以内に止まらなければいけないというものがあります。これは現在でも新幹線以外の鉄道における標準的な要求となっています。最高速度160キロ運転が認められている京成成田スカイアクセス線や北越急行ほくほく線では踏切が一切なく、ATS-P形式の自動列車安全装置やGG信号等が導入されていることから、特例措置として認められています。2019年に発生した京急線での踏切事故は記憶に新しいことでしょう。この事故の原因は信号機が見にくい位置にあったこと、ブレーキが緩かったことだと発表されています。ここからも、ブレーキがいかに鉄道にとって重要かが分かることでしょう。
(2)地理的な要因
山がちな地形が多い日本では速度向上に適さない、カーブが多い線形になりがちです。そのため、平野の多い欧州諸国ではあまり見られない、振り子式車両などが開発されてきました。速度を上げるには、線形改良や複々線化、新しい別線を建設することなどのどれかが使われます。線形改良するには、多くの場合、トンネルを掘らなければならないことが多く、少ない平野に人口が密集している日本では、地価が高くなりがちで、複々線化するにも、土地を購入するのに大きなお金がかかってしまいます。お金がかかりすぎてしまうと、費用対効果が期待できません。また、十数キロスピードが上がっても所用時間は数分ほどしか変わらず、これまた費用対効果が期待できません。例えば、京成成田スカイアクセス線内の北総線内でスカイライナーが時速160キロ運転を行っても、3分ほどしか短縮できないそうです。このように、日本では鉄道の高速化には、莫大な費用がかかるわりには、利益が出にくくなっています。
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